現在台風4号が日本列島に近づいおりますが、例えば、この台風の影響で各地の公共交通機関が大混乱し、従業員の遅刻や欠勤が発生した場合、このような公共交通機関の乱れによる遅刻や欠勤については、どのように扱うべきでしょうか。
結論としましては、年次有給休暇を充当して賃金控除を行わないといった処理を行うのがベストです。
【解説】
台風による欠勤や遅刻は、使用者の責めに帰すべき事由による欠務ではありませんので、ノーワークノーペイの原則より、賃金の支払い義務はありません。しかしながら、このような場合は従業員の責任でもないということで、賃金控除をするのではなく、年次有給休暇を充当して賃金控除を行わないといった処理を行うのがいいでしょう。
ここで一つ問題があります。従業員の欠勤時において、使用者が従業員の意向を確認しないままに自動的に欠勤日に年次有給休暇を充当するという処理を行うことには問題があります。従業員にとっても欠勤控除がされないことから、問題ないと考えがちですが、原則として年休の時季選択権は個々の従業員にあり、自らの年休をいつ使用するかは、基本的に労働者の自由となりますので、本人の確認をとってから年次有給休暇を充当するといった処理を行うべきです。
また、年次有給休暇は、事前申請に基づき消化できるものですが、台風などの災害や病欠などは、事後の申請に基づき、恩恵的に年次有給休暇を充当する取り扱いを行うことは問題ありません。もっとも無制限に事後の年休申請を認めることは職場の規律の低下にも繋がる恐れがあることから、あらかじめ従業員の遅刻や欠勤に関する取り扱いを明確化し、一貫した対応ができるようにしておくことが重要です。